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ひさしぶりに、どきどきする、苦しい試合を見た。
ワールドカップ以来だろう。
とにかく負けないで欲しいと
心から祈る試合を見たのは久しぶりだった。

先に、もどかしくてこころから応援できないと書いてしまったことを
少し悔やんでしまうほど、この2試合はドラマチックだった。


無論、苦しい展開になるのは、決めるときに決めないからだという見方は当たっていると思う。
相手が格下だから、もっと楽に勝つべきだという人もいるかもしれない。
相変わらず、試合の入りが悪く先制されるという、難点は解消されないままだ。
内容だけを見れば決して良い試合ではなかったのかもしれない。

しかし、ヨルダン戦のPK0−2からの大逆転、
バーレーン戦の10人1点ビハインドからの逆転、再逆転。
ヨルダン戦。川口のPKストップは神懸りだった。
バーレーン戦。一人少ない状況から、中田浩二、玉田と決め、
追いつき追い越されてからの、中澤の同点ゴール。
延長の玉田の逆転弾。
いままで、みたこともないほどの、執念、気迫を感じた。
勝ってもすっきりしない、そんな試合ではなかったと思う。
思えばドーハ組以降いつも言われていた、気持ちの弱さ、決定力不足、
それを覆したのではないか。
だとしたら、その力の源は、、、やはりジーコなのだろうか。

彼はメンバーを変えない。めったに変えず同じ布陣で行く。
かと思うとがらっと変えたりするもんだから、
いきあたりばったりだとか言われる。
主力を休ませるべきという批判がある。
いろいろなメンバーを試すべきという非難がある。
僕自身もそう思っていた。

けど、そうではなかったのかもしれない。
そうしなかったことによって、身につくものもあるのかもしれない。
選手を休ませなかったことで、極限まで研ぎ澄まされた、
殺ぎ落とされた状態で覚醒するものがあるのかもしれない。
そして、選手を固定するのも、その中でもモチベーションを落とさない選手のみを
選びつづけているのかもしれない。
全ての選手を信頼している。その言葉を信じてくれる選手のみを選んでいる。
だからこそ、いままで控えの選手だった人たちがアジアカップで活躍しているのかもしれない。

ジーコは頑なだといわれている。
しかし、なにか信念を持っているのだと思う。
もう、彼はなにもしなくても、過去の名プレイヤーであり、
サッカー界のスーパースターだ。
にもかかわらず、自身のキャリア初の監督を引き受けたこと。
それこそは、彼がこの国のサッカーになにかをしたいという強い信念のあらわれではないか。
10年以上前、この国に彼が来てくれたことで、この国のサッカー環境が大きく変わったように、
今度は、代表チームに何か変化をもたらしてくれるのかもしれない。

不可思議な点はいまだ多く、不安も、不満もあるけれど、
彼を信じてみても良い。
最初に思ったように、今もやっぱりそう思う。





惜しむらくは、高原、久保、小野、中田、稲本がここにいないこと。
この一体感を彼らが戻ってきても失われないこと。
(もしもそれが損なわれるなら、呼ばなくても良いとさえ思う。)
それを願っています。