勝ち点3

はらはら、どきどき。苦しい試合。
本当に、演出家でもいるのではないか、
そう思うほど、劇的な試合。
オマーン戦の久保のロスタイム弾からおよそ一年。
またも、ロスタイムでの逆転。

試合の入り方は悪くなかった。
開始4分、小笠原のFKが左下隅に決まり先制。
意地の先制弾で流れを作るかと思ったんだが、
背番号9、キム・ヨンスが入ったくらいから、流れが変わりだした。
中盤から放り込んでくる攻撃には、昔から苦戦させられるけれど、
今日もそうだったな。
ながれが良くないときに、それを整えることができなかった気がする。
そのあたりが、悩みどころだし、サッカーの難しさなのかな。

危ないシーンで、一度は川口のファインセーブに救われたものの、
ナム・ジョンチョルが見事なパスワークから、GKの逆を突く
すごいシュート。
そこから、高原、中村、大黒が投入される。
高原がいいシーンを二度ほど外す。
そのあたりの運が無いこと惜しい。
大黒、中村もなかなか絡めないところで、時間がじりじり減っていく。
だけど、なんとなくやってくれる気がした。
最後まで信じよう、そう思えたのは、このチームの底力を見てきたから。
そして、注目株にあげていた大黒が、最後の最後に大仕事をやってのける。
こぼれ球を福西が落とし、振り向きざまのシュートがゴールへ転がり込む。

ジーコの持っている運といえばそれまでかもしれないけれど、
勝ったこと、勝ち点3をとったこと、それは本当に大きい。
まったくもって、このチームの粘りは、なんともいえないすごいドラマを
いつもいつも見せてくれて、嬉しいけれど、しんどいなあ(笑)




いつものごとく楽勝だの、なぞのチームだの書きたて、
無駄に煽りたてる、報道の方向性に辟易し、嫌で嫌でしょうがなかったが、
サッカーファンだけは、まったく方向性を誤っていなかったことが、
すごく嬉しい。
北朝鮮国歌吹奏のあと、日本サポータからの拍手には胸が熱くなったし、
日本国家斉唱も、鳴り物持参の北朝鮮サポーターは
非常にマナーが素晴らしかった。

在日朝鮮人の問題。あるいは、拉致の問題。

正直、北朝鮮と対戦が決まったとき、
それが、ネガティブに扱われることを危惧したし、
それは現実のものとなったけれど、
サッカーという枠の中で、両チーム、両サポータは
そんなわだかまりなどひとつも感じさせない、
良い試合を見せてくれた。


北朝鮮はいいチームだった。
闘志にあふれ、最後まであきらめない。
ありがちな、時間稼ぎも悪質なファールもなく、
クリーンで、すがすがしいプレーを見せてくれた
北朝鮮イレブンには、本当に拍手を送りたいし、
素晴らしいマナーで応援してくれた
北朝鮮サポーターにも、敬意を表したい。


W杯が韓国との心の距離を埋めてくれたように、
この試合が、北朝鮮在日朝鮮人の人たちを考える、
そのきっかけとなり、いつかもっと仲良くなれたら、
そしたら、素晴らしいよね。



ともあれ、勝った事!
今日はそれだけで十分です!

さあ、ドイツへ行くぞ!ジーコと行くぞ!