世界一決定戦

長文注意。

朝起きると異様に寒い。
11時を回るというのに、
気温計は3セルシウスディグリー。
まあ、3℃だわ。

怖ろしいことに、大寒波襲来らしい。
今日はトヨタカップ。ただでさえ会場は寒いというのに。

とりあえず、一緒に行く友人と待ち合わせる。
合流後、自由が丘にて昼食。
それまでの行動ですでに私の装備では、
会場で戦えないことが判明し、
防寒用の帽子、マフラー(2枚目)、クッション、
使い捨てカイロ、などを買い込む。

会場は新横浜近くの横浜国際競技場なのだが、
双眼鏡を買いたかったので、横浜のビックカメラへ。

ここでちょっとしたハプニング。
ビックカメラの100人に1人無料キャンペーンに、
小額で当選する連れの友人。
微苦笑を浮かべる店員。
連れのテンションは下がる一方でした(悲)。

まあ、それはともかく、防寒用のウイスキーミニボトルや、
おやつ、防寒具などを追加し、いざ新横浜へ。

この頃になると、電車内も明らかに感染者、もとい観戦者
(まあある意味、感染者かもしれん、サッカー中毒の)
の姿がちらほら。ユニフォームやジャージ姿のね。

だがその姿を見ると、リバプールサンパウロ
当然いるのだが、ジュビロ、FC東京、アントラーズ
マリノスらJリーグ勢だったり、バルサ、ユーヴェ、
ミランなど人気チームだったりしていて、
まあ日本でやるトヨタカップのごった煮感が出ていました。

サプリササポーターらしき紫の集団にも出くわす。
マニアック!と思ったら、おそらく現地の方でした。

途中、やはり!という感じのカタコトユニフォーム売り、
だがことごとく警察に摘発されて、撤収していました。
たしかにボッテましたがねえ、いいんじゃない?
スタジアムで買うと高いしさあ。


スタジアムへの道のりはそんなこんなで歩いていたのですが、
途中大きく道を逸れて、遠回りすることに。
近いはずのスタジアムなのに、なんだかとても疲れて到着!

ちなみに天気は快晴。
遠くまで見通せる乾ききった寒空。
サッカー日和といえばサッカー日和。
恐ろしく寒いけどw



というわけで、スタジアムへ到着。
我々の席は北ゲート、N13入口の1階26列224番
サンパウロアルイテハドのホーム陣営となるゴール裏。

1階の中段より少し上、ゴールに向かってちょっとだけ左。
なかなかグラウンドも近くて、双眼鏡はほとんど要らなかった。

周りにはサンパウロサポーターらしき人もいる。
旗も用意されてる。
よし!というわけで、サンパウロを応援することに決定。
にわかサポーター完成です♪

若干早めについたため、試合まで時間が多少ある。
とにかく寒いため、まずは防寒対策を施す。
席にはクッションを敷き、首にはマフラー×2。
帽子を目深にかぶり、太ももはブランケット、
足のふくらはぎと、かかとにホッカイロ。
さらにその上から足首辺りをタオルで巻く。

これでもか!っていうほどの防寒だが、
3位決定戦のためか、我々のうしろに客は無く、
風除けが無いため寒い、寒い。
まあ、その寒さは押して知るべし、ですな。

そんな気候の中、ミニスカートでビールを売っている
売り子のお姉さんの気合に感嘆したりしつつ、
時間をつぶしているとついにKICKOFF!

相対するのは、
北中米はコスタリカ代表、サプリサと
アジア、サウジアラビア代表、アルイテハド

試合が始まると、なんとなく違和感。
やけに静か。
おかげで売り子の「ビールいかがっすかー」が
気になってしまったりした。

むう、やはり前座扱いか。と悲しくなりつつ、
アルイテハドの応援に精を出すことを決意。
じっと試合を見る。


前半はサプリサペース。
アルイテハド、サプリサ、ともスピードのあるカウンターが売りと思ってたが、
サプリサのカウンターが早々に綺麗に決まる。

前半開始13分ごろ。
エース、サボリオへ斜め後方から放り込まれたボールを、
半身でトラップし、完璧なボールコントロール
それを、ツータッチ目でボレー気味に叩き込み、先制のゴール!

丁度こちらサイドに攻めてきていたので、
じっくり見れたのですが、まずトラップの上手さが
尋常じゃなかった。そして、躊躇無いシュート。
さすがに世界的には有名ではないとはいえ、
地域代表のチームのエース。すごいプレーだと関心。

サプリサはこれでペースを握る。
アルイテハドが攻撃の組み立てに苦労するなか、
立て続けにセットプレーを見せ、
その後も、執拗に裏へ放り込むサッカーが効果的に展開。
得点シーンの再現のようなシーンもあり、
あわやという場面が増える。


しかし、それを凌ぎきっているうちに、
サプリサには嫌な空気が流れたのを感じた。
チャンスのあとにピンチ有り。
その格言どおり、アルイテハドが一瞬の隙をつき反撃。
長く放り込まれた縦パスをジョブが見事なポストプレーで落とし、
それをノールからカロンへパス。
カロン(かつて、インテルモナコでプレーした選手!)が
シュートを放ち、弾かれるものの、そのリフレクトを自ら押し込んで
同点のゴール!

これもいいゴールだった。
ポストプレー、スルーパス、シュート。
流れが綺麗で、質の高い得点。

むう、こんな良い試合を見ないなんて勿体無い。
周りの空席を見つつそんな気持ちになった。

ここからは一進一退。
カロンのFKはバーを叩き、
サプリサもロペスのミドルがきわどく外れる。
お互い、見せ場をつくりつつも1−1で前半終了となった。

ハーフタイム。
我々は食事をとったり(お菓子だけど)してすごしていたのだが、
徐々に集まりだしたサンパウロサポーターが、暇をもてあましたのか、
ハーフタイムに鳴り物を鳴らし歌を歌いだした。
場所はバックグラウンドの向かって左側。
(おそらくTVでも再三写っていたであろう、大集団のおおもと)

前半とは空気が一変、変な空気のなかキックオフ。
どちらの応援でもない、「オレー、オレー」という声が響く。
無責任な観客の声援。おそらく、ワールドカップとかでも、
自分の応援してないチーム同士の対戦ではこんな感じなのだろう。
中立地のサッカーの不思議さを垣間見る。

そんななか、まず先手を取ったのはアルイテハドだった。
後半の8分。カロンのドリブルがファールを誘い、PKをゲット!
蹴り直しにもめげず、きっちりとゴール。
勝ち越しに成功。なんだかしらないが、サンパウロサポーターも
大喜びで声援を送っている。
アルイテハドと声をあげていたような?)


ここから30分あまり。完全にアルイテハドのペース。
武器の一つであるサイド攻撃が機能しだし、サプリサゴールを脅かす。
後半22分にはGKの飛び出したゴールにシュートが打たれ、
ゴールに入ってのクリアでなんとか逃れるシーンも。

もうアルイテハド勝利のムードが漂い始めたピッチだったが、
チャンスをことごとく逃すアルイテハドに、
前半のサプリサと同じ危うさを感じずにはいられない。

「何かが起こりそうだなあ」
そんな風に思いつつ、残り5分を切るかというころ、
サプリサ、サボリオがドリブルで切り込み、
倒されてPKをゲットする!
これをすんなりサボリオが決めて同点。

やっぱり、簡単にはいかなかった。と満足しつつ、
さあ、延長かあと、友人と二人で話していたのだが、、、、
サッカーの神様ってのは、俺の予想なんて軽く上回ってくれてました。

後半終了間際、44分。
なんとレッドカードがアルイテハドの選手に!
ペナルティーエリア手前でFKを献上。右45度の高位置。


これを蹴るのは途中出場のゴメス。
そして、助走をつけてシュート。

その直後、俺は、思わず「すげえ」と叫んでた。
手袋もかなぐり捨てて拍手。

そう、ゴールへ向かうその軌道はまさに弾丸!
ロベルトカルロスばりのズドン系FK。
ゴール左上へ、有無を言わさない勢いで突き刺さる。

サプリサベンチは大騒ぎ。優勝したのかってくらい。
もちろん、無責任サンパウロサポも便乗騒ぎ。
こうなってはアルイテハドに勝ち目は無く、
世界3位の座はデポルティボ・サプリサのものとなりました。


それにしても、良いもん見せてもらいました♪
贅沢言えばこっちサイドで見たかったけど、
あのFKは鳥肌もの。
コスタリカ代表。俄然ファンになりそうです。

シーソーゲームで見ごたえもばっちり、良好なゲームを展開してくれた
両チームは決して前座ではなく、本当に素晴らしい試合だった。

生で見られて感動だし、このあとにも断然、期待が膨らんでゆく。
そう、ついに来たよ、本番が!
ああ、ドキドキ、ワクワク!



すっかり日も暮れ寒さ増す、横浜国立競技場。
ついにこのときがやってきた。

グラウンドではサンパウロサポーターがバックグランド左、
メインスタンド右、そしてゴール裏(なんとリバプールサイドの一角にも!)
と、まさに四面楚歌状態で応援に意気揚がる。

うちらの後ろの席にもやたらと声のでかいブラジル人が座り、声を上げる。
うるさいなあ、って思ったけれど、これもまた本場の空気なのかもしれん。
マナーはともかく、熱気が増して盛り上がってくる。


リバプールはアップを始めているが、サンパウロはGKのみ。
寒いのか?大丈夫なのか?
と思っていると、スタメン発表。

準決勝と同じ面子のサンパウロに対し、
リバプールは5人を入れ替えてきている。
とくに前線のシセ、クラウチ、リーセをモリエンテスルイス・ガルシア
キューウェルに換えてきたことは驚き。
ターンオーバーとはいえ、この奇策(?)が上手くいくのか、
駄目だったら叩かれるだろうなあ、そんな不安を抱いたが、
今日の俺はサンパウロサポ。
むしろキューウェルなんて、調子落としてくれたら、
オーストラリアとやるとき助かるぜ!
なんて、不穏当なことを考えていると、変な球体が運ばれ、
グラウンドにも人がたくさん集まっている。
どうやらセレモニーがあるらしい。
じっとみてると、北朝鮮?って感じのマスゲーム
その後、球体が浮かび上がり、両チームのエンブレムが現れ、
スタジアムは歓声に包まれる。
うん、やっぱこういうのが本番の迫力だよね。
実際みると凄いなあって思うもの。

そしてFIFAのアンセムに黙祷。
オープニングセレモニーでブラッター会長らが握手をして、
さらにサッカーファミリーに黙祷。
その間に試合が始まる。?

ちょっと良くわからなかったが、とにかく待ちにまった試合が始まった。

開始早々、ジェラードからモリエンテスへクロス、
ヘディングは惜しくも外れるも、するどい出足でリバプール優勢な出だし、
かと思われたのだが、
ここでへんなおっさん登場。
運営側の対処も遅く、追われて逃げつつ、
サンパウロGK、セーニになにやら投げつけゴールへダイブ。
ああ、ヨーロッパ選手権でもあったなあ、なんて思いつつ、
ブーイング!Boooooooo!!!!!!!!

その後も3,4分にわたり中断。
すっかり興を殺がれる。

おそらく、これがリバプールの歯車を狂わせたに違いない、
そんな気があとからするけど、試合自体は順調に再開された。

試合自体はハイセンス。
リバプールの展開力、サンパウロの突破力、
攻守がめまぐるしく入れ替わり、少しのミスが命取り。

見ていると浮いたボールの処理精度が若干サンパウロの方が上回っており、
サイドの大きな展開のあとのプレーで、守備に引っかかるリバプール
それでも、ジェラード、シャビアロンソから展開されるボールを
キューウェル、ルイスガルシアが放り込み、モリエンテスが合わせる。
恐ろしく贅沢な攻撃は見てるだけで、愉しい。

サンパウロシシーニョが凄い。
そこで抜くの!ってところで抜いたり、交わしたり。
マドリーが目をつけるわけだわ、ってなかば感嘆しながらプレーを眺める。

膠着した序盤に、終止符を打ったのもシシーニョだった。
それは追いつかない、っていう球を凄い出足でトラップすると、大きく中へ展開。
これをアロイシオがダイレクトでゴール前へ送る。
そのボールに走りこんだのはミネイロ!みごとに叩き込み先制ゴール!
周りのサンパウロサポも大喜び!
総立ちで叫びまくる!

このゴールで火が付いたか、リバプールは猛攻を見せる。
直後のルイス・ガルシアのヘッドはバー直撃。
その後、ジェラードのFKからのヘッドは決まった!と思ったが、
セーニがスーパーセーブ!
こういうプレーすると乗るんだよなあ、と思ったのは後で的中することとなる。

その後もリバプールが攻めるも、1−0で前半を終える。


これは、後半リーセを入れたほうがいいんじゃねえか。
そんな予想だったが、ベニテス監督は誰も交代しないで、後半が始まる。

後半早々も、リバプールペース。
7分。FKを蹴るのはジェラード。
右上隅へのキックは完璧だったが、セーニが横っ飛びで弾き出す。
う、これは嫌な展開(リバプールにとって、ね)。
こうなると手がつけられない。その直後のキューウェルの危険なクロスを、
またしてもセーニが弾く。


そうして、多分問題となっているシーン。ジェラードのFKが流れたところで、
折り返しをルイスガルシアがヘッドで決める!
ゴール!全員が総立ちになるのだが、俺はなぜだか線審が目に入った。
そう、旗が揚がっている。
意気消沈のリバプールに対して、うしろの外人たちは品なく爆笑し、罵声を浴びせる。
感じ良くはないが、これが本場というものだろう。
マナーは悪いが、サンパウロへの愛情を激しく顕す彼らに、サッカーの深さを思う。

こうなってくると、リバプールびいきになりたくもなるが、
そこは初志貫徹。サンパウロの守りに期待する。

が、試合はその後もリバプールペース。
CKからヒーピアがゴールを揺らすも、こんどはゴールラインを割ったとの判定。
このときは線審が先に見え、立ち上がりもしなかった。

その後にはシャビアロンソのスーパーなループパス。
反応したジェラードだが今度は叩き付けすぎてしまう。
点が取れなくても十分な見ごたえだが、点が入らない。
何かが憑いた。そんな感じ。

これを払うには交代しかない。
そう思ったが、ベニテスの動きは遅い。
(まあ、見た目には攻めきっていたからね、難しかったかも)
30分が過ぎ、ようやくリーセ、シナマ・ポンゴルが投入される。
リーセは予想どおりだったが、ポジションは後ろ目。シセやクラウチも無し。
これは、、、と思わずうめく。(サンパウロびいきとはいえ、ね)

リーセ投入後は、左サイドが安定しだし、クロスがあがるようになったが、
点には結びつかない。
逆に中盤ではボールが繋がらなくなる。
そして、攻撃虚しく点が入らないリバプールクラウチを投入。
とき既に遅し、そんな感じもする。

43分。クラウチの落としたボールにルイスガルシアが反応し、中へ。
それをシナマポンゴルが決める!!!も三度、線審が旗を揚げる。
ん、もちろん俺も見てた。
ああ、終わったなって感じ。会場をため息が包む。


ロスタイムは3分。
既にスタジアムは「ウィーカンピオン」の大合唱。

最後の望み、ジェラードのミドルも枠を逸れ。
ルイスガルシアのシュートもはずれ、
初代チャンピオンはサンパウロに決定した。

今日の結果を審判のせいにするのは簡単だ。
三度上がったフラッグ。
おそらく、不正な結果だと唱えるに違いないと思った。
確かにサンパウロは守勢だった。
がしかし、リズムを持っていたのも事実。
今日のサンパウロはしたたかで、そして冷静だった。
キューウェルシシーニョ
つまりリバプールの左サイド、サンパウロの右サイドがキーとなっていたような気がする。
ジェラード、シャビからの展開でサイド攻撃をしかけ、
再三使われたキューウェルだったが、
序盤以降はいまいちキレが無く止められいた。

ジャッジが微妙な判定になったことで、カリカリしたのが、
最大の敗因かな。
でも、そこまで防ぎきったセーニがMVPなのは誰が見ても
正当な結果だろう。

とにかく、初代世界一を決める戦いは、
ピッチも、スタンドも、サンパウロが勝っていた。
それは認められるべき。
こころからおめでとうといいたい。



そして最後のセレモニーは素晴らしかった。
本当に見れて良かったって、思えた。
このような大会が開けたことは日本人は誇って良い。

日本のチームが出られなかったこと。
そのために宣伝はカズ頼みになったこと。
欧州、南米が絡んでいない試合で観客を
動員できなかったこと。
欧州は相変わらず乗り気でないこと。

さまざまな要因があったから、
大成功とは到底言えないし、
この大会の良く先はまだまだ混沌としている。
続くのかどうか、それすら定かでない。
だけど、この大会がいつか、ワールドカップにも負けない、
大々的な大会になったとき、
この大会の第一回を開催できたことは、
日本にとっての誇りとなる。

二つの良い試合を見れた。
それだけでも十分だけど、
いつかそれがだれかに誇れるとしたら、
本当に幸せだな。




心底、おどろくほど寒かったけどね。